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頚椎捻挫(むち打ち)の後遺障害等級 - 宇都宮の交通事故弁護士

代表弁護士 伊藤 一星 (いとう いっせい)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号49525)
保有資格 / 弁護士

頚椎捻挫は医学上の傷病名ですが、一般的には「むち打ち」と呼ばれることが多いです。なお、頚椎捻挫のほかにも頚部捻挫、外傷性頚部症候群などの症状名についてもむち打ちと呼ばれることが多いです。

むち打ちは、首に加わる衝撃によって首がむちのようにしなるような現象が生じることからそう呼ばれています。

交通事故で頚椎捻挫を負った場合に認定を受けることができる可能性のある後遺障害等級は「第12級13号」「第14級9号」です。

以下、後遺障害等級ごとの条件、後遺障害慰謝料について解説いたします。

交通事故で頚椎捻挫を負いやすいケースと症状

頚椎捻挫は交通事故の態様で最も多いと言われている「追突」によって負いやすい怪我です。信号待ちで車を停車していたところ、前方注視を疎かにしていた後続車によって突然追突されるというのがその典型です。

また、頚椎捻挫は追突に限らず、側面からの追突事故や、バイクを運転中、歩行中の事故でも十分生じうる怪我です。

頚椎捻挫を負うと、事故直後は痛みが出なくても徐々に頭痛、眼精疲労、視力障害、耳鳴り、上肢のしびれ、脱力感、めまい、吐き気、懈怠感などの症状が出る場合があります。

頚椎捻挫と後遺障害等級

交通事故で頚椎捻挫の怪我を負った場合に認定を受けることができる可能性のある後遺障害等級は「12級13号」、あるいは「第14級9号」です。

頚椎捻挫の後遺障害等級、後遺障害等級認定の条件と弁護士(裁判所)基準に基づく後遺障害慰謝料(目安)の関係は以下のとおりです。

後遺障害等級 後遺障害等級認定の条件 後遺障害慰謝料

第12級13号

局部に頑固な神経症状を残すもの

290万円

第14級9号

局部に神経症状を残すもの

110万円

後遺障害等級第12級13号と第14級9号の条件の違いですが、前者はMRI画像等などによる他覚的所見、スパーリングテスト、腱反射テストなどによる神経学的所見が認められ、神経系統の障害が医学的に証明されること、後者は他覚的所見、神経学的所見から医学的に証明できなくとも、神経系統の障害が医学的に推定され、説明がつくこと、とされています。

頚椎捻挫で後遺障害等級第14級9号の認定を受けるための条件

前記のとおり、頚椎捻挫で後遺障害等級第14級9号の認定を受けるための条件は「神経系統の障害が医学的に推定され、説明がつくこと」とされています。

これをさらに具体化した条件は提示されていませんが「神経系統の障害が医学的に推定され、説明がつく」ためには、一般的に、以下の条件を満たすことが必要だと考えられています。

交通事故態様が後遺障害の症状を発症する程度のものであること

交通事故態様が大きいか小さいかは、車の大きさ・重さ、交通事故直前のスピード、交通事故の状況(たとえば、同じ追突でも走行中に追突されたものなのか、停止中に追突されたものなのかなど)、車の損壊状況、被害者の受傷状況などを総合的に勘案して判断されます。

そして、交通事故態様が大きければ大きいほど、後遺障害の症状を発症させたと推定されることになるわけです。

交通事故当初から継続的に病院へ通院していること

交通事故に遭ったら、速やかに(できれば交通事故直後、不可能であれば1日~2日後)病院を受診し医師の診察を受けることが先決です。

交通事故から診察までの期間が空けば空くほど、推定を受けること、認定を受けることは難しくなります。また、一度、診察を受けた後は、医師の指示に従い、継続的に通院することが必要です。

診察から診察までの間が空けば空くほど「大した怪我ではない」「怪我は治癒した」とみなされ、やはり推定を受けること、認定を受けることが難しくなります。

発症から症状固定までの症状の訴えに連続性、一貫性があること

頚椎捻挫の症状が発症したら、速やかに医師にその症状を伝え、症状に対する適切な検査、治療を行ってもらうことが必要です。

そして、症状固定(これ以上、治療を継続しても改善の見込みがないと判断された状態)までに症状が改善した場合は別として、症状が改善しない場合は一貫してその症状を医師に訴え、カルテに記載してもらうことが認定を受ける上では大切となってきます。

後で悪化する可能性がありますからどんな些細な症状でも発症した都度、遠慮なく医師に伝えておくことが大切です。

症状に整合する他覚的所見、神経学的所見があること

「他覚的所見があること」とはレントゲン、MRI検査などによって「神経学的所見があること」とはスパーリングテストや腱反射テストなどによって、症状と整合する病変が認められることが必要、という意味です。

特に、MRI検査は事故当初からの神経根圧迫状態などの経緯を観察する上で重要な役割を果たしますから、できる限り早い段階で受けておくことをお勧めいたします。

医師に内容の不備のない後遺障害診断書を作成してもらう

後遺障害等級認定を受ける上で最も重要視される書類は医師が作成する後遺障害診断書です。したがって、医師に内容に不備のない後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。

そのためには弁護士等の助言や医師への働きかけが必要となる場合もあるでしょう。

頚椎捻挫で後遺障害等級第12級13号の認定を受けるための条件

頚椎捻挫で後遺障害等級第12級13号の認定を受けるための条件は前記でご紹介した条件に加えて、MRI画像などの明確な画像所見があること、画像所見によって認められる病変が経年性(加齢によるもの)ではなく外傷性(交通事故)によるものであること、です。

もっとも、頚椎捻挫の場合、明確な画像所見が認められないことが多いことから、後遺障害等級第12級よりも第14級の認定を受けることの方が多いのが実情です。

まとめ

むち打ちなどの頚椎捻挫でも後遺障害等級認定を受け、慰謝料等を受け取れる可能性があります。事故当初は症状が軽くても、後で症状が悪化することも考えられます。

そのときになって初めて病院を受診しても手遅れとなることがありますので、まずは症状の軽重にかかわらず病院を受診することが先決です。

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