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肘関節の可動域制限についての後遺障害等級認定申請

代表弁護士 伊藤 一星 (いとう いっせい)
弁護士法人宇都宮東法律事務所 代表社員(パートナー弁護士)
所属 / 栃木県弁護士会 (登録番号49525)
保有資格 / 弁護士

交通事故被害によって、肘の骨折や脱臼等の負傷をしてしまったことの後遺症として、肘関節の可動域が制限されたり、機能を補うために人工器具を挿入しなければならなくなったりすることがあります。

この記事では、肘関節の可動域制限についての後遺障害等級についてご説明します。

交通事故で肘関節の可動域制限が起きる理由

交通事故により肘に後遺症が生じる理由にはいくつかあります。

代表的なものとして、まず、肘部分の打撲や、地面に投げ出されて手を付いたときに発生しうる上腕骨遠位部骨折、肘を曲げた状態で強打したときに発生しうる肘頭骨折、バイクから腕を伸ばした状態で転倒したときなどにおきる肘関節脱臼などの外傷があります。

また、末梢神経を傷つけることにより麻痺などが生じることもあります。

肘関節の可動域制限についての後遺障害

腕の後遺障害には欠損障害、変形障害、醜状障害、機能障害の4つがありますが、関節が動かしづらくなる可動域制限は、このうちの機能障害にあたります。

肘関節の可動域制限について認められうる後遺障害等級は、以下のとおり程度が重い順から8級6号、10級10号、12級6号があります。

  • 8級6号  1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  • 10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

8級6号

まず、8級6号の「関節の用を廃したもの」とは、関節の機能が喪失されたと評価されている状態で、具体的には①関節が強直したもの②関節の完全弛緩性麻痺又はこれに近い状態にあるもの③人工関節を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもののいずれかの状態をいいます。

①の関節の強直とは、関節が全く動かない状態である完全強直となっていることをいいます。

完全弛緩性麻痺とは、肘部分の神経のダメージにより弛緩性麻痺となり、自分の力で関節を完全に動かせなくなることをいい、これに近い状態とは、自力で動かせる関節の可動域が健側の可動域の10%程度以下に制限されている状態をいいます。

人工関節とは、金属、セラミック、プラスチックなどで作られたインプラントで、関節が機能しなくなった場合の代替として埋め込み利用するものです。

10級10号

10級10号に該当する「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、①関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているものか、②人工関節・人工骨頭を挿入置換した関節のうち、その可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されていないものをいいます。

12級6号

12級6号の「関節の機能に障害を残すもの」とは、関節の可動域が健側の可動域の3/4以下に制限されている状態をいいます。

具体的な可動域の測定方法

上述のように、肘関節の可動域がどの程度制限されているかによって、認定されうる後遺障害等級は異なります。

では、可動域はどのようにして測定されるのでしょうか。

可動域の測定は、日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会は発行している基準である「関節可動域表示ならびに測定方法」の「関節可動域の測定要領」に基づき、医師が角度計という器具を用いて、5度刻みによる測定することとなっています。

また、肘関節の可動域は原則として健側の可動域と比較して測定することとなっており、患者本人が能動的に曲げた角度である自動値ではなく、医師が手を添えて曲げた角度である他動値により測定されます。

肘関節の主要運動は、腕を曲げる動きである「屈曲」と腕を伸ばした状態からそらせる動作である「伸展」の2種類となり、この2種類の動きの合計について測定を行います。関節可動域の測定は部位によっては、主要運動とともに参考運動についても計測しますが、肘関節については、参考運動はありません。

後遺障害等級認定申請の注意点

肘関節の可動域制限についての後遺障害等級が認定されるためには、①肘関節部分に交通事故による器質的損傷があること、②症状固定時に機能障害の原因が確認できることを医学的に証明する必要があります。

そのため、交通事故直後から専門医を受診し、肘関節部分のレントゲンなどの画像診断を用意して、既往症ではなく交通事故との因果関係に器質的損傷が発生したことを証明できるようにしておきましょう。

関節可動域制限の原因となる骨のまわりの軟部組織の損傷の有無を確認するためにMRI画像も撮影しておくことも有効です。後遺障害診断書の内容も重要となります。交通事故と肘関節の可動域制限の因果関係がわかるように記載してもらいましょう。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害等級認定がされた後は、加害者側に対して後遺障害慰謝料を請求することとなりますが、この際は弁護士基準で示談交渉をしていくべきです。

後遺障害慰謝料の基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3種類がありますが、自賠責基準が最も低く弁護士基準がもっとも高い金額となっています。

肘関節の可動域制限で認められる後遺障害慰謝料の金額について、自賠責基準と弁護士基準で比較すると以下のようにかなり金額の開きがあることがわかります。

後遺障害等級 自賠責基準 弁護士基準
8級6号 324万円 830万円
10級10号 187万円 550万円
12級6号 93万円 290万円

また、関節障害が後遺障害として認定された場合、慰謝料に加えて逸失利益も請求することができます。逸失利益とは、後遺障害の影響で労働力が下がり得られなくなったと考えられる将来の利益のことです。

例えば、物を運ぶ仕事をしていた人であれば、肘の関節障害によって、これまでの仕事ができなくなる可能性が高いですので、その分の賃金等は逸失利益にあたります。

逸失利益は、「基礎収入×後遺障害による労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という計算式により求めます。肘関節の可動域制限で認められる後遺障害である等級については、以下の通りの労働能力喪失率となります。

  • 8級:45%
  • 10級:27%
  • 12級:14%

最後に

いかがでしたでしょうか。

肘関節の可動域制限で認められる後遺障害等級についてご参考になれば幸いです。

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