むち打ちの後遺障害等級12級13号認定 - 宇都宮の交通事故弁護士
むち打ちで後遺障害等級12級13号の認定を受けるには
- 後遺障害の症状を発生する程度の交通事故態様であること
- 事故直後から継続して病院へ通院していること
- 事故直後から症状固定までの症状の訴えに連続性、一貫性があること
- 後遺障害診断書の記載上、自覚症状と画像所見、神経学的検査所見に整合性があること
- 神経が圧迫されている明確な画像所見があること
- 圧迫されている神経の支配領域に神経学的検査所見があること
が必要です。以下で詳しく解説します。
むち打ちとは?
むち打ちとは、主に自動車の追突、他の障害物等への衝突などによって、首が鞭(むち)のようにしなる現象のことをいいます。
このむち打ちによって、首に急激な過伸展、過屈曲運動が生じるため、事故後、数日経って、首・肩の凝り、めまい、吐き気、頭痛、視力障害、手のしびれなどの自覚症状が現れます。
しかし、こうした自覚症状のわりには、レントゲン、MIR等で自覚症状の原因となっている病変をとらえきれない(他覚的所見に乏しい)のがむち打ち症の特徴です。
なお、むち打ち症という傷病名はなく、むち打ち症の場合、一般的に「頚椎捻挫」「外傷性頚部症候群」などの傷病名が使われます。
むち打ちと後遺障害等級
では、むち打ちでは何等級何号の後遺障害等級が認められているのでしょうか?
まずは、そもそも後遺障害等級とは何かという点を解説し、その後、むち打ちで認められる後遺障害等級の中身や慰謝料について解説します。
後遺障害等級
後遺障害等級とは後遺障害の程度の重さのことで、赤本の後遺障害別等級表には介護を必要とする後遺障害として別表第一の等級は1級と2級、介護を必要としない後遺障害として別表第二の等級は1級から14級まであります。
さらに、それぞれの級ごとに1号から最大17号までの号数が設けられています。後遺障害等級は、一つには、治療費、交通費などと並ぶ損害賠償金の損害費目である「後遺障害慰謝料」という慰謝料を算定するためにあります。
つまり、等級ごとに後遺障害慰謝料の算定基準、目安が設定されているのです。
むち打ちで認められる後遺障害等級と慰謝料
むち打ちで認められる後遺障害等級は「12級13号」、あるいは「14級9号」です。
後遺障害等級12級13号の中身(条件)は「局部に頑固な神経症状を残すもの」であることで、後遺障害慰謝料は自賠責基準で93万円(令和2年4月1日以降に発生する事故の場合には自賠責基準94万円)、弁護士(裁判所)基準で290万円(目安)です。
他方、後遺障害等級14級9号の中身(条件)は「局部に神経症状を残すもの」であることで、後遺障害慰謝料は自賠責基準で32万円、弁護士(裁判所)基準で110万円(目安)です。
むち打ちで後遺障害等級を獲得するための条件
では、むち打ちで後遺障害等級を獲得するための条件、獲得するためにはどのような点に気を付けるべきでしょうか?以下では後遺障害等級12級13号、14級9号を獲得するために必要とされる共通の条件や気を付けるべき点について解説します。
後遺障害の症状を発生する程度の交通事故態様であること
車の種別・大きさ・重量、事故直前の速度、車の破損状況・衝突状況などから後遺障害の症状を発生する程度の交通事故態様であることが必要、ということです。
したがって、被害者としてもできる限り、交通事故直後の車の破損状況、衝突状況は写真等に残しておくべきです。
事故直後から継続して病院へ通院していること
通院を中断する、通院と通院の期間が空いているとなると「後遺障害が残るほどの症状ではない」と判断され、後遺障害等級の獲得が難しくなります。
まずは、医師とよくコミュニケーションを取りながら治療を継続していくことが必要です。
むち打ちの場合、少なくとも6か月以上の継続した通院が必要でしょう。決して自己判断で通院を中断してはいけません。
事故直後から症状固定までの症状の訴えに連続性、一貫性があること
症状固定とは、医師によって、これ以上治療を継続しても症状の改善が見込めなくなった状態と判断されたことをいいます。この判断までに症状の訴えに連続性、一貫性があることが必要ということです。
連続性、一貫性の有無はカルテ等の記載によって証明します。カルテに患者の症状を記載するのは医師ですから、日頃から医師によく自らの症状を伝え、きちんとカルテに記載してもらう必要があります。
後遺障害診断書の記載上、自覚症状と画像所見、神経学的検査所見に整合性があること
後遺障害診断書は後遺障害等級認定の申請をする際に必要となる書類のひとつで、医師に作成してもらいます。
画像所見とは、レントゲンやMRI画像などで症状の原因となっている病変がとらえられていることをいいます。したがって、事故直後からレントゲンやMRI画像で撮影しておくことをお勧めします。
また、むち打ちでは画像所見が認められない場合も多いです。その場合は、神経学的検査も併せて実施してもらいます。神経学的検査には、徒手筋力テスト、知覚テスト、腱反射テストなどがありますが、腱反射テストが人の意思に左右されず重要視される傾向にあります。
また、検査を行う時期や後遺障害診断書への検査結果の記載内容によっても結果が左右されますから、その点も十分注意する必要があります。
むち打ちで後遺障害等級12級13号を獲得するための条件
さらに、むち打ちで後遺障害等級12級13号を獲得するための条件は
- 神経が圧迫されている明確な画像所見があること
- 圧迫されている神経の支配領域に神経学的検査所見があること
です。神経が圧迫されている画像所見と神経学的検査所見とに整合性が認められることが必要です。
神経学的検査によって、画像所見から予想される部位とは異なる部位から痛みやしびれなどが出る場合は、12級13号の獲得は難しくなります。
まとめ
むち打ちは骨折などと異なり、レントゲンやMRI画像などで症状の原因である病変をとらえることが難しい怪我です。
そのため、むち打ちによる後遺障害等級認定を受けるためには、継続通院、症状の連続性、一貫性がより重要となってきます。