非該当と認定された下肢短縮障害につき、異議申立により併合7級に覆った事例
ご相談内容
ご依頼者は信号機のない交差点で横断歩道を進行中、右方から交差点に進入してきた車と衝突し、受傷されました。
ご相談時点では既に治療を終えられており、後遺障害等級についても事前認定で12級7号が認定され、相手方保険会社より賠償案の提示も受けておりました。
しかしながら、本件事故による骨折で歩行に不自由が生じており、心配されたご子息より、その金額の妥当性を確認されたいとのことで、ご相談いただきました。
被害者 | 80代・無職男性 |
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部位 | 下肢 |
傷病名 | 左大腿骨転子部骨折 |
後遺障害等級 | 併合7級 |
獲得金額 | 1251万円 |
サポートの流れ
項目 | サポート前 | サポート後 | 増額幅 |
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後遺障害等級 | 12級 | 併合7級 | – |
入通院慰謝料 | 116 | 200 | 84 |
休業損害 | – | – | 0 |
逸失利益 | – | – | 0 |
後遺障害慰謝料 | 224 | 1051 | 827 |
合計 | 340 | 1251 | 911 |
単位:万円 |
まず、事前認定で12級と認定された後遺障害について、その妥当性を判断するべく、ご依頼者から怪我の状況や治療経過を詳しくお聞きし、相手方保険会社より入手した診断書、提出された後遺障害診断書・画像等を精査しました。
その結果、後遺障害診断書に記載の「短縮障害」について、記載の数値が自賠責保険上の等級認定基準に該当するにもかかわらず、客観的画像の添付がないことを理由に非該当となっていることが判明しました。
ご依頼者の症状に鑑みても当該認定は不当であると判断し、異議申立てをすることにしました。異議申立てにあたっては、医師の協力を仰ぎ、改めて下肢長の数値を測定の上、新たに画像を撮影していただきました。
また、当事務所で作成の照会兼回答書に測定結果を記載いただき、証拠資料として提出しました。
解決内容
異議申立ての結果、短縮障害につき「1下肢を5cm以上短縮したもの」として、8級5号が認定されました(結果、事前認定にて認定の左股関節の機能障害12級7号とあわせて併合7号が認定されました。)。
また、本件では、慰謝料の他に退院後に入所された老人保健施設の入所料が争点となっておりましたが、当該施設への入居は本件事故のケガによるリハビリが目的となることを粘り強く主張した結果、退所までの全ての入所期間の費用が損害として認定されました。
所感(担当弁護士より)
本件では、明らかな下肢短縮の症状があるにもかかわらず、これらの症状について評価がなされていませんでした。
下肢短縮については、そもそも見落とされやすい症状であるとともに、どのようにこれを立証すべきか分かりづらいという問題があります。
適切な後遺障害の認定を受けるうえでも、交通事故に関して経験のある弁護士に依頼することの重要性がわかる事案であるといえます。